第28話

「あっ!でもでも、あ、『会いたいです』って、一度送った気が」


「それも特に返信はいらないだろ」


「ええ?!そうですか?!『俺も会いたい』とか『わかった』とかあっても良くないですか?!」


「だから心の中で『わかった』と思って終了」


「そんな!冷たい!」


「その分、会った時可愛がってやるから」



そう言ってわたしを優しく抱きしめる先輩。



先輩の匂いに包まれ酔いしれるわたしは、どこまでも哀れなほどに溺れていく。



「…悔しい。また更に先輩が好きになっちゃうじゃないですか」


「それは結構。お前こそ俺にくだらない嫉妬させて、そういうのは無駄に上手いよな」


「え?嫉妬させるのが上手い?どういう意味ですか?わたし、そんなつもりは…」


「本当にたちが悪いな」


「なっ…」



わけがわからず言い返そうとすると、わたしを抱きしめる優しい手が、突然力強くなる。



「お前は俺だけ見てればいい」



強く強く抱きしめられ、先輩に染められたわたしが言えることは、たった一言だけだった。



「…はい、先輩。」

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