第23話

「ずっと会ってなかったから、その分溜まってた。色んな意味で」


「そ、それって、先輩もわたしに会いたかったってこと?」


「…会いたかったというよりは、足りなかったの方が近い」


「足りないってのがよくわからないけど、会えない間、わたしを思い出す時があったってことですよね?」



わたしの言葉に、なぜか先輩は少し顔をしかめた。



え、わたし怒らせた?



「だから、なんでお前はそういうことをわざわざ口にするんだよ。言わなくたってわかるだろ。少しは察したり悟る力を養え」


「だ、だって先輩、久しぶりに会っても普通の顔してるし、先輩はわたしに会いたくなったりしないのかな、会いたくて恋しくなるのはわたしだけなのかなって、ずっと思ってたから…」



当然わたしは毎日、先輩を想っていた。



朝起きると一番初めに先輩の顔が浮かんで、何をしてても先輩のことが気になって。



何度も何度も携帯をチェックしては落胆して、夕暮れになると無性に切なくなって。



夜の鮮やかな月を見ると、会いたくてたまらなくて、泣き出しそうになる感情を必死で抑え込む。



そんな日が続いていたから、ちゃんと確かめたい。


好きなのはわたしだけじゃないんだって、ちゃんと想い合ってるんだって、確かめたいの。



今目の前にこんな素敵な人がいるなんて、奇跡としか思えないもの。

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