第8話

―――――…

―――…



あれから2週間。




(しかしまぁ…。)


つくづく自分は情けないと痛感せざるを得なかった。





2週間前に携帯を忘れて取りに行ったばかりだというのに、


2週間後の今日、家から学校まで、再び道程を折り返している自分がいた。



携帯の画面には【18:30】と表示されている。



徐々に秋の色味と肌寒さが深まって行っている中で、見上げた空はもう紺色でさえ残っていなくて。




――黒く染まった空にぼんやりとした光を放ちながら浮かんでいる三日月。


その神秘的な世界が本当に綺麗で、不思議で、所々星が散りばめられている空を、ぐるりとゆっくり見渡した。






今回忘れたのは、携帯ではなく課題だった。


別にわざわざ取りに行く程のものでもないかも知れないが、これに限っては珍しくてこずった為、家で復習をしようと考えていたのだ。



周りのやつらはどう思ってるかは知らないが、俺は勉強が嫌いではない。むしろ好きな方だ。ある時話の流れで相田に言ったら、何故か『結くんの詐欺!』とオネエ言葉で言われたのでデコピンしてやった。



何が“結くん”だ。キモチワリイ。





―…ちなみに今日は、2週間前と同じ過ごし方にプラスしてリビングでくつろぐという時間があったから今の時間と言う訳で。



……誰に言い訳してんだか。




(ウチから学校まで、あんま遠くないのが不幸中の幸いってやつか。)



家から学校までは、徒歩15分程かかる。


慰めるように自分に言い聞かせ、段々と近くなってくる校門を目指し、引き続き歩みを進める。




暇つぶしにと携帯のアプリゲームをピコピコ操作している中で、ふと、あの日の光景が脳裏をよぎった。





――2週間前の、西原との出来事を。

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