第11話

「ううん、また来るから大丈夫です。あ、私も奈々ちゃんと待ち合わせしてるんでした!じゃあ幸坂先生、さよなら。会議頑張ってください。」


私の待ち合わせの相手など興味がないのであろう幸坂先生は、「はいさよならー」と軽い口調で言ってから立ち上がった。


私が机に置いていたスクールバックを肩にかけてドアに手をかけようとしたら、先生も一緒に出ようと思ったのか、先にドアを開けてくれた。


二人とも教室を出たところで、先生が急に振り返って何かを差し出してきた。


「待って、篠宮。これあげる。」


透明のビニールに包まれたそれは、学校の購買で売っているメロンパンだった。


昔ながらのフォルムと素朴な甘さがなんとも言えず美味しくて、私も大好きな商品だ。

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