第5話
引き戸を開けて入ったその部屋は、普通の教室の半分にも満たないほどの小さな部屋だった。
まあ、ここで授業を行うわけでもないからそんなに広い必要がないのだろう。
部屋の真ん中に会議机のような縦長の机が置かれていて、入って正面に見える壁には大きな窓があり、自然光を取り入れてくれている。
それ以外の三方は壁一面に棚が設置されており、大学の過去問集やら、入試情報やら、そういった資料が所狭しと並んでいた。
進路指導室と言うから一対一で面談でもするような部屋なのかと想像していたけれど、意外と開放的で誰でも自由に入れる部屋みたいだ。
そうは言っても、私が今までその存在を知らなかったように、こんな部屋に来るのは大学受験を控えた三年生くらいだろう。
「あれ、誰かいたのかな。」
その大きな会議机の周りにはイスも何脚か用意されているのだけど、その中の一番窓側、いわゆるお誕生日席に黒い革のペンケースと、開いたままのノートのようなものが無造作に置かれていた。
私が入ったときには誰の気配も感じなかったから、これらを置きっぱなしにしたままどこかへ行ってしまったのかもしれない。
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