第4話

「かっきー、美月ちゃん、ばいばーい。」


近くの席の友達にひらひらと手を振って教室を出て、少し先の中央階段を下りる。


そのまま下駄箱で奈々ちゃんを待っていようかな、と思っていたけれど、昨日担任に言われたことを思い出して、行先を変更した。


「お前まだ大学迷ってんのか。志望学部は大体決まってるんだろ?まあまだ焦る時期でもないけど、ぼちぼち固めろよ。」


「分かってますよお。日々固めてます。意志を固めては解くを繰り返してるんです。」


「いや解いたらだめだろ、解いたら。」


「お前進路指導室って知ってるか?一階にある部屋。行ってみたらどうだ?色んな大学の資料あるから。」



なるほど、進路指導室。

正直私はその存在さえ知らなかったけれど、奈々ちゃんの部活のミーティングが終わるのを待っている間ちょうど暇だったので、忘れないうちにと私はそこに行ってみることにした。



中央階段を下りて右に少し進むと、待ち合わせの下駄箱と昇降口がある。

六限が終わったところなので、これから帰宅する生徒や部活に行く生徒で結構混雑しているみたいだ。


私はその下駄箱をそのまま通りすぎると、突き当りをまた右手に曲がった。


そして二つくらい、何に使われているのかよく分からない教室のドアを横目に通り過ぎると。


「おお、本当にあった。」


そこには確かに「進路指導室」と書かれたプレートが下がる教室があった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る