第9話

以前、青山くんに一緒にお昼を食べようと言われた時、恥ずかしいからと断った。

それを葉月に言うと、それは青山くんが可哀想だと言われた。




〈「誰もそんなに二人の事気にしてないから」〉




それはわかってるけど、それでもなのだ。

だから青山くんに悪いなと思ったので、教室じゃないところでならと時々お昼を一緒に食べている。

いや、正確には食べていた。

最近ではもっぱら鈴木さんがお昼に私たちの教室にやってきて青山くんの隣でお昼を一緒にしている。





私も気持ちがモヤモヤするけど、それを青山くんに言ってもいいのだろうか。

ただ、お昼を食べてるだけだ。

他の女の子とお昼を食べることを嫌だと言うことは普通なんだろうか。

それとも、それくらいいいじゃないかと思う気持ちを持つべきなんだろうか。

誰かと付き合う事が初めての私にはわからない。





その日の帰り、お互いバイトも部活もないので久しぶりに青山くんと二人で帰ることになった。




「なんか、久しぶりだな」



「そうだね」



「手、繋いでいい?」



「うん」




もう学校も出ていたので、少し恥ずかしかったけど青山くんと手を繋いで駅まで歩いた。




「手、冷たいね」



「ごめん、」




そう言って、手を離そうとすると青山くんは私の手をぎゅっと握って




「離さないでよ。せっかく凛と繋げたのに」



「え、」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る