ラバの森-下-
ラバの森で謎の転移に遭い、その原因を破壊するべく魔導具が吸収している魔力の流れを探そうとしている。
満はあの不思議な夢から覚め、テントを片付けてまたラバの森内の探索を始めた。
ラバの森内のあちこちを探索していると急に紫の霧に囲まれ始めたのだ。
「皆!構えよ!これ以上死者は出したくない!」
そう指揮官が言い、勇者達は円形に固まり皆それぞれの固有の構えを取った。
すると、ガサッという音とともに白い布で覆われた人形の巨大な二足歩行の犬が出現した。
その禍々しい姿にまだ精神が異世界に追いついてない異世界から転移してきた山田翔太が、腰を落とした瞬間に山田翔太の首をクイッと犬の魔物が跳ね飛ばした。
これが行われた時間はたったの0.00001秒未満…つまり、ほかの勇者は認識できずいつの間にか翔太の頭が宙に舞っているということしか認識できなかったのだ。
犬の魔物は超高速の速度でZランクである史上最強の拳士マタイ・ヒエヨスを狙った。
そのマタイを狙う拳の速度は光速を超越した
光速の超越により起こることと言えば時間の逆行、つまり過去に拳を放ったのだ。
その過去拳により過去に負傷したマタイは、その瞬間から姿形が消えた。これは、マタイが過去の時点で死んでいると改竄されたのだ。
この光景を見た指揮官はZランクであろうと魔皇の領域にたどり着くのは困難…いや、不可能ということを悟り顔が一瞬で青ざめた。
その次、その次、その次、とどんどんと勇者を瞬殺していく犬の魔物は急に機能が停止した。
周囲の生き残った勇者達は早くて見えなかったそうで、ここで初めて敵の姿を認識した。─裏を返せば、山田翔太は怪物クラスの認識速度を持っていたということにもなる─
犬の魔物は機械のような形をしており、犬の魔物の頭を開けると「魔皇軍試験用戦闘機v11.5、一般兵用兵器」と書かれていた。
「魔皇軍…一般兵用兵器だと!?これの性能の奴が大量に出てくるのか?」
指揮官が驚くと隣から魔帝中村健が「恐らく魔皇軍は全体で見れば十二階位の魔族をも上回る一般兵器を開発しようとしてますね。この兵器が完成すれば魔皇VS人類はおろか、魔皇軍の一般兵VS人類も勝てるかどうか怪しいですね…」と恐ろしいことを言った。
この戦闘でSランク勇者は全滅し、Zランク勇者も一人死んだ。これは非常に危ない状況であり、勇者の戦力がラバの森で一気に削られたということである。
指揮官は急いでラバの森から出ようと急いで行動を始めた。勇者の埋葬などもせずに
12kmほど歩くと魔力の流れが異なる場所が現れ、そこに急いで向かうと巨大なハニカム構造をした球状の魔導具が存在した。
それを剣聖が一刀両断すると、ラバの森全体の霧がなくなり、迷いの森ではなくなった。
それと同時にはるか上空から光の流星群のようなものが勇者達を襲おうとした。
その瞬間に健と絶対防御の守護者ガレオン・アイアンフォージが守護結界を展開し、なんとか流星群の衝突から身を守れた。
ただ流星群の衝突でラバの森全体が消滅し、地図上からラバの森は消滅した。
「く…なんなんだよッ」
そう指揮官が衝撃的な光景をみながら呟くと、目の前に胴体にv15.6と書かれたロボットが降りた。
そしてロボットは口を開き「
すると剣聖が剣先をそのロボットに向けて「魔皇軍の最強兵器か何か知らないけど、今ここで殺すッ」と言った。
そして剣聖が一歩動いた瞬間にロボットの拳が剣聖の胴体を貫いた。
「クハッ」
そう剣聖が血反吐を吐いて倒れた。その光景を見たZランクの勇者達は悟った。人類は魔皇軍に勝てないのだと…
「
そうロボットが言った瞬間、指揮官は両手を挙げて「ハハハ…降参します」と涙目になりながら言った。
それを言い終わった指揮官に満が「おいおい、それでいいのかよ?」と指をさして言うと指揮官が「だったらお前!あの怪物を倒してみろよ!最強クラスの英雄である剣聖が瞬殺だぞ!?」と言った。
満は「あぁ倒せるよ」と言い、ロボットの後ろに回り込んでロボットを手刀にて一刀両断した。
そのあり得ない光景に周りの勇者も絶句し、指揮官が「お、俺達では魔皇はおろか十二階位の魔族、それより下の一般兵にすら勝てねぇ…もうお前が…お前らしか倒せねぇんだ。魔皇討伐はお前に任せた」と泣きながら言った。
周りの勇者ももし自分達がついて行ったらお荷物になる可能性を考慮して、指揮官の意見に同意した。
「よし、じゃあ俺たちは帰るか。俺達では倒せませんでしたってな」
指揮官がそう言うと、他の勇者を連れて流星群により消滅したラバの森を歩いていった。
その中でこっそりと抜け出してきたエルドが満の方に来て「魔皇討伐やりますかぁ」と言い、満達もラバの森を抜けた先にあるドラゴン山脈へと向かった。
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