魔族の領域へ

ラバの森へ

 翌日満は目を覚まし、身支度を済ませた後に魔族の領域への道筋を確認する話し合いが宮殿の中央であるらしいので、そこへ向かった。

 満は宮殿の中央へと向かうとSとZランクが全員集まっていた。満が最後らしく少し恥ずかしく思いながら集合した。

 全員が集まったことを確認すると指揮官らしき人物が点呼を取った。


 その点呼が終了すると巨大な地図を開き、魔族の領域に行くための方法を確認していった。


「まず、魔族の領域はこの世界とは別のディメンション、次元の存在する。その次元に行くために次元跳躍を行う必要があるのだが、それを行うためには次元の狭間という場所に行かないといけない。その場所に行く方法を今から紹介していく。」


「まず最初にラバの森、別名迷いの森という超高難易度の森の中に入っていき、ドラゴンの山脈に向かって歩いていく。この森は非常に方向感覚が狂いやすく、ラバの森の中には巨大なクマの魔獣なども存在するため十分気をつけるように」


「2つ目はラバの森を越えた先に存在するドラゴン山脈という山脈である。これはドラゴンが全種類住んでいる山脈の為ドラゴン山脈という名前がつけられてあり、古竜や火竜、水竜など全て存在しているため気をつけるように。」


「3つ目はドラゴン山脈を抜けた先にあるマグマ地帯だ。そこは海のようにマグマが広がっており、そのマグマの中に洞窟があるのだ。その洞窟に入るとダンジョンにつながっている。そのダンジョンを最下層まで攻略すると次元の狭間につながるポータルに行けるのだ」


「この順番で攻略していき、攻略する最中はその地域のボスを攻略することを心がけるように。ボスを倒したら出現するモンスター数が減るか元々からいたモンスターが何処かに行くので、ついでで整備することによってC〜Aの勇者でも通れるようになるということだ。つまりSとZの勇者が挫折や全滅をするとこの計画自体無くなるので頑張るように。」


「ただ、全体的にZランクの冒険者の集団と同等かそれ以上の強さを保有しているからドラゴン山脈さえ切り抜ければ、他は簡単だと思うから、頑張るように!では翌日からラバの森に行くので今日は休むように!お前らは重要な戦力だからしっかり休憩しろよ!」


 そう指揮官が言って、SとZの勇者は解散となった。武から聞くと今日から中央勇者育成学校は開始するそうなので、どんな感じか見るためにリュファスと共に見に行くことにした。

 武とエルドを誘おうと思ったが、武は「死ぬかもしれない戦いだから、最後にやり残したことをするよ」と言い、娯楽という娯楽を楽しみに行き、エルドは「ノベタン国に1回帰って親と一緒に過ごしとくよ」と言いノベタン国に戻りに行った


◇◆◇◆◇◆◇◆


 中央勇者育成学校についた満は「強めの勇者だから人に声かけられると思ったら、声かけられなかったなぁ」と呟いていたら、リュファスから「勇者のランクの発表などは結構個人情報なので、基本発表されないと思うぞ。あ、だけどSとZは明日どでかいパレードみたいなの開くみたいなの言ってた気がするから、そこでSとZの勇者はわかると思う」と言われた。

 ちなみにリュファスによると「この世界、全体的に戦闘向きの女性は居ないから結構蒸し暑いことになるよ、異世界転移してきた女性も戦闘向きというよりかはサポーターの人が多いよ」と言われ、結構満は絶望した。


 満は中央勇者育成学校の中に入り、授業の様子などを見ていると初めて耳にする情報がたくさんあったのだ。

 その中の一つに恐怖の値が上限値を超えると、肉体が遺伝的に魔改造されその恐怖を乗り越えようとするらしいのだ。これはつまり昔満がエンシス国で戦ったあのオークもこのような現象で強くなったということである。

 そしてもう一つ。SとZランクの勇者は神扱いされていたのだ。なんと魔皇討伐のための総戦力のうち80%がZランクの勇者、10%がSランクの勇者が締めているため、戦力しか取り柄のない勇者達はそのような格差が叩き込まれているようだ。─下位のランクの勇者が上位のランクの勇者に生意気な態度を取って上位ランクの勇者が機嫌を壊して全体的な統率力のダウンなどを防ぐため─


 まぁそんな感じで学校懐かしいぁと思いながら眺めていると、やはり勇者育成ということもあって相当ハードなようだ。一日にフルマラソンの10倍走らされて、それを2分以内に完走しろなどという結構鬼畜な練習内容もあるようだ。

 そんなこんなで中央勇者育成学校を見終わり、そこら辺の居酒屋などに行って時間を潰した後に夜になってきたため就寝した。


 翌日、ラバの森に行く前にそのラバの森行きの馬車を中心にパレードが行われるので、満はその中心の馬車─Sランク15人、Zランク10人でZランクの勇者は一人2両の馬車。Sランクは3人で1両の馬車─に乗り込もうとすると、執事に「満様はそちらの馬車ではなく、こちらのVIP専用馬車です」と案内され満専用の馬車に乗り込んだ。

 そして、その執事に話し相手としてリュファスとエルドも中に入れられるか聞くと、入れられるらしくまた昔─と言っても2週間いかないぐらい─の三人で乗ることができた。


 その後馬車が移動し、パレード─というか見送り会?─の最中にいろんな歓声を受け首都アダルンから抜け出した。

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