第二のクエスト

 満が冒険者ギルドに向かっている最中に急にピコンという音が鳴り脳内に《クエスト開始!》という言葉とともに自動的に目の前に青いスクリーンが現れた。


```

クエスト開始!


・冒険者ギルドで「スライムの巣窟でスライムの核を20個集めよ」というクエストをクリアせよ。


クリア報酬:スキルのレベルアップに必要なポイントであるSPという新しいステータスの項目を獲得する

```


 ふむふむ、その冒険者ギルドのクエストを受ければいいのねと思いながら、満は冒険者ギルドのドアを開けた。

 冒険者ギルドの中に入ったら魔導具のバッグの中で保管していたオークの死体を受付嬢に見せた。


「すみません。そのまま受け取ることはできないので、そのオークを解体する必要があります。解体はご自身で行いますか?それとも解体料金が発生しますが解体屋に頼みますか?」


 モンスターには解体が必要だと初めて知ったが、よくよく考えたらモンスターの価値がない部位まで渡されたら困るもんなと、納得したので解体屋に頼むことにした。


◇◆◇◆◇◆◇◆


 解体屋がオークの解体を終わり解体料金として銀貨2枚渡して所持金が銀貨30枚になった所で、オークの買取金額が出た。


「オークは希少部位である右胸にある魔導石は無事だったため金貨3枚で買い取らせてもらいます。」


 満は買取金額であんなに死にかけたのにこんなに少ないのかと思ったが、現実世界での一ヶ月の手取りよりも高いことで妥当なのか?と思いながらクエスト板に向かった。


 クエスト板にはシステム─今からあのレベルアップ時のメッセージなどは、システムメッセージ、それを送っている謎の存在をシステムと呼ぶことにした─のクエストに書かれていた「スライムの巣窟でスライムの核を20個集めよ」というクエストがあった。

 そのクエストを受けることにした。


 クエストに書いてあったスライムの巣窟があるというヒマイ山に向かった。



 ヒマイ山はオーク似初めて出会った場所だったので、オークに警戒しつつ「8レベルアップしたから、もうオーク余裕なんじゃね?」と思いながら移動した。

 2kmほど移動したらスライムの巣窟がある場所にたどり着いた。

 スライムの巣窟という名前の通りスライムが数え切れない程おり、洞窟の入り口はもうスライムで覆われていた。


「確か本で見た感じスライムは顔に粘りつくと窒息死するから、遠距離から炎系の魔術や弓で攻撃すればいいんだっけ?俺にはそんなん無いから、マッチで燃やした松明でも投げ込んどくか」


 そう思った俺はマッチを取り出し松明に火をつけ、その松明をスライムの巣窟の入り口に投げ込んだ。

 するとスライムはジョワァァァァァという音を立てながら蒸発というか、溶け出した。

 そして地面に落ちたスライムの中心部にあるスライムの核を12個ほど取った。

 俺は余裕な笑みで「なんだ、楽勝じゃん」と思いながらスライムの巣窟の深いところまで移動した。


 スライムの巣窟の中は暗いので、松明をマッチでつけて周りを照らして移動し、スライムを発見したら松明を投げるという行動を繰り返した。

 そうすると、さっきの「なんだ、楽勝じゃん」という思いが死亡フラグにならず、ほんとに安全にスライムの核20個が集まったのだ。

 そして、冒険者ギルドに戻りクエストを完了して銀貨5枚貰った後にシステムのメッセージ《クエストを完了しました!ステータスにSPを追加いたします!》と脳内に流れてきた。

 ステータスを確認すると、スキル欄にSPという項目が追加されていた。

 そう満が思っているとまたシステムのメッセージが流れてきた。

 その内容は新しいクエストの追加という感じのメッセージであり、スライムの巣窟の最奥にあるスライムの宝石という素材を取ってこれば、報酬として1000SPが貰えるそうだ。


「これはやるしか無いでしょ」


 そう思った満はまたスライムの巣窟へと向かった。あんなことになるとは知らずに…


◇◆◇◆◇◆◇◆


 再びヒマイ山に到着した満はまたスライムの巣窟へと入っていった。

 スライムの巣窟の中は俺が結構スライムを倒したせいか、静かになっていた。

 クエスト達成の時に来た地点よりも更に奥に進んでいくと、赤いスライムが出てきた。

 赤いスライムは満を認識するや否や満に突進してきた為、満は一発パンチをお見舞いし赤いスライムをパァンという音と共に消滅させた。


 赤いスライムは計10体ほどおり、それら全てを倒したためレベルが4上がった。─その前にクエストを成功させるために倒したスライムで3上がっている─

 つまり今の満のレベルは25というわけだ。

 レベルが4上がったのはSP獲得後だったので、ステータスの上昇以外にSPが100貰えた。


 スライムの巣窟の奥へと進んでいくと、広々とした空間に出た。

 その空間は神秘的な光で照らされており、中央には湖のようなものがあった。


「ひれぇなぁ…ていうか、スライム見かけないな」


 そう油断していたら、手の方に温かい液体が流れてきた。

 なんだろう?と思い手の方を見ると腕の部分から血がたれていたのだ。


「え?…」


 思わず声が出てしまった。

 今の一瞬のうちに何かのモンスターが満の腕を切ったということが分かった満は周囲を警戒しながら周りを探索し始めた。


バシュッ


 そう空気を裂きながら飛んできた小石に素早く満は反応し体を反らして避けた。

 満はさっきからなんなんだよ。と思いながら探索を進めると、湖の中央部にスライムのジュエルがポツンと置いてあった。

 満がそのスライムのジュエルに近づこうとしたとき、はるか上空から何者かが目の前に落ちてきた。


 その者はスライムの顔面に人間の筋骨隆々な体を付けたような見た目をしていた。

 そのスライムは急に喋り始めた。


「その俺達のジュエルを取ろうっていうのか?それは…駄目だぜ!それを取ろうって言うなら俺を倒してからいけ!」


「もしかして、さっきから小石とか投げてたのはお前なのか?」


「そうだぜ!」


 満は臨戦態勢に入りこの変なスライムに近づいた。

 すると急にアシストモードが《あのスライムの名前はスライムソルジャーです。スライムの中では三番目に強い種類であり、平均レベルは80レベルであり、Bランク冒険者が5人組でやっと勝てるレベルです。正直言って今の貴方では80%の確率で負けるでしょう》と言い、満は恐怖した。


「こいつが、キングじゃないだと?」


「おいおい、そこの冒険者…それに驚いてるってことは、異世界から転移してきたやつだな。異世界から転移してきた奴は転生してきた奴と違って常識がないからなぁ。この世界では弱そうなスライムやゴブリン関係なく王と判断される者は、めちゃくちゃ強い。

まぁその種族をまとめ上げる存在だから当たり前なんだよな。

そしてキングというモンスターは最低でもAランク冒険者レベルの強さを持っているぜ!

俺達のキング様はなぁ〜」


 そう彼が喋って油断している間に一気に近づき、鉄壁放火と拳術の間接加速拳をお見舞いした。─ちなみに鉄壁放火のスキルの詳細を説明してないが、アシストモードの防御力に極振りと攻撃力に極振りをスキルがやってくれるものだ─


 だが、スライムソルジャーは少し悶絶したが、何もなかったかのように立っていた。


「酷いなぁ。だけど今のがお前の全力か?」


 この時満は死を覚悟した。


「鉄壁放火って今の俺のステータスの全力だよな…つまり俺の最大火力、それが効かなかったってことは俺にはこいつは倒せない…?」


 その時システムのクエストの報酬が書き換えられた。10000SPポイントに。

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