採用試験
パチパチ
眩しい太陽光がカーテンの隙間から差し込む。どうやらゴブリンとウサギとの戦闘で体が疲れており、そのまま一日眠っていたようだ。時間を確認しようと自分の部屋の中の時計を見ると7:35を指していた。
冒険者の採用試験は今日の14:30に行われるので、その間まではこの国の観光と冒険者採用試験の内容について聞くorそれについての本を買うことにした。
カーテンを開け、新しく買った服に着替えて自分の部屋のドアを開けた宿の朝食を食べた後に宿から出た
「最初は冒険者採用試験の内容が記された本を買うか…」
そう思い本屋に向かうために大通りに出た。大通りには大量の馬車と人がおり、とても混雑していたが、本屋のような店を見つけた為そこに向かった。
本屋に行こうと歩いていると、「昨日あのグランデの森の中に大量のツインラビットの死体が転がってたらしいぜ?」という話し声が聞こえた。満は「多分それ、俺が昨日戦った後だな…」と思いながら本屋に到着した。
本屋の中にはたくさんの本があり、そこに書かれている文字が不思議と読めた。満は「異世界ってなんか…都合いいな…」と思いながら「冒険者のすゝめ」という本があったのでそれを銀貨3枚で購入し、大通りの近くに有った平地の公園のベンチに座って読むことにした。
「なるほどねぇ」
10分ほどこの本を読んで冒険者採用試験について分かったことがある。
まずひとつ目は、筆記試験等の知識を問われる試験は無く全て実技試験であったことである。理由としては冒険者は農家の害獣を駆除したり等の簡単な依頼も受けることがある為沢山の人材が必要であり、知識も問われない為知識に関する試験をアレス暦1583年に廃止したそうだ。─ちなみにアレス暦とは戦神アレスが悪魔の軍団の襲撃からまだ繁栄して間もない人類を守った、その日から何年経過したか表してるそうだ─
2つ目は、冒険者ギルドの受付の方に魔物の死体又は魔物の価値ある部位と薬草等は受付に持ってこれば、依頼関係なく買い取ってもらえるということだ。
3つ目は推測なのだが、この世界にはランダムな場所にランダムな間隔で異界人が来るそうだ。その異界人は地球人onlyなのかは定かでは無いが、来ているそうだ。まぁ俺の友人やら親族が来るのは天文学的数値になるだろうな。
4つ目は、冒険者採用試験には筆記試験がない代わりに実技試験があり、そこでステータスやレベルの測定や試験員との手合わせでの実践の実力などを加味するそうだ。
5つ目は、冒険者はランク─下から順にF,E,D,C,B,A,S,Zとなっている─で全て判断され、実技試験の成績が良ければ最初からEランクやDランクから始めることが可能だそうだ。この世界の勇者が冒険者になった時は歴代最高記録を実技試験で叩き出しAランクからのスタートとなったそうだ。
わかったことはこれで以上だ。この分かったことをノート─本屋で購入した。銅貨30枚─にまとめていたら10:28になっていたので、この国の観光を始めた。
まず大通りで気になったのは、魔道具を売っている店と武具や武器を売っている店だ。2つとも外観が異常に派手で、大きさが俺が今止まっている宿屋5つ分にはなるほど大きかったのですぐ目についた。
「最初に行くところは〜……魔道具店にしよう!」
そう決めて魔道具店の中へと入っていった
魔道具店の中は広々としており、沢山人がいたが気にならないぐらいには広かった。
魔道具店の中で一番気になったのは"魔力だけで動きます!"という看板が目立つように置かれたエリアであった─ホントに気になったのはR18エリアだが、言わないでおこう…─このエリアの中には魔力で明るくなるランプや魔力で食材を調理できるフライパンなど日用品もあったので、沢山の人がおり、ひときわ混雑していた。
g 満は人をかき分けてダンジョン─冒険者の中のすゝめに載ってた─の中で周りがわかるように魔導ランプを購入し、使用者の魔力量で内蔵している亜空間の大きさが変わる理論上は無限に収納できるバッグを購入した。合計で銀貨15枚はかかった。普通に高かった。
そして魔道具店を出て武器店に向かった。
武器店にも沢山の人がおり、様々なところに巨大なケースにしまってある高そうな剣があった。
武器店の周りを歩いているとギャハハという笑い事ともに走ってる子供が俺にぶつかってきた。普通にあぶねぇなと思いながら子供の方を見ると動きやすいのに耐久性はバツグンな皮装備と初心者にオススメな鉄の剣が目に入った。特に欲しいものが無かったためそれを銀貨50枚で購入した。
これで銀貨約83枚を昨日と今日で消費したことになる。
「これ早くお金稼がんとヤバそう」
そう思いながら時間を確認すると13:45ぐらいだったので、冒険者の採用試験の試験会場へと向かった。
冒険者の採用試験の試験会場は冒険者ギルド後ろ側にあった訓練場?のようなところだった。
試験会場には三人の審査員がおり、左から男男女である。三人とも冒険者ランクはB以上のベテランの冒険者である。
そう審査員を見ているとぞろぞろと試験を受けに来た人が集まってきた。合計の人数は30名といったところか?
そう思っていると審査員の真ん中の男性が口を開けて張った大きな声で「これで全員揃ったか?」と問いかけた。そして皆は全員集まったため全員で頷いた。
全員が頷いた所で真ん中の審査員A─とでも名付けておこう─がまた張った大きな声で
「最初はレベルとステータスの測定を行う!合格ラインはレベル5、ステータスは平均15だ!」
と言い、言い終わった瞬間に青色のクリスタルが出現した。そのクリスタルに審査員Aが手をかざすと青いスクリーンが現れ、そこにはこう書かれていた。
```
名前:シンサ・インエー
レベル:51
平均ステータス:172
```
周囲の一同はその高いステータスをみて皆驚いていたが満は疑問に思っていた。「レベル51で平均ステータスそんなに低いのか…?」と、審査員のレベルには到達してないが、満はレベル10で平均ステータス60ほどの満からは異様なステータスの低さである。
満はもしかすると成長率がアップする系のスキルを自分は2つ持っているから、異様なまでにレベルアップしているのではないか?
そう考えた、満は少し自分のスキルの強さに対して恐怖を抱いた。
「よし!では受験者は順番に並んで、この青いクリスタルに手をかざしていってくれ」
そう審査員が言うと同時に皆はぞろぞろと縦1列に並んでいった。
そして順番よく皆は自分のステータスを見ていった。
ある者はレベルはたったの3で合格ラインに到達しておらず一瞬で試験から落とされた人、ある者はレベルが15もあり、平均ステータスは100という未来の英雄候補の人もいた。
そしてついに俺の番が来た。俺が手をかざすときちんと出てきて平均ステータスも60と記載されていた。
すると審査員は驚いた表情で「こ、今年は英雄レベルが2人も?」と小声で言っていた。
試験は順調に進んでいき、残りは最後の人しか残っていなかった。
その最後の人がクリスタルに手をかざすと一瞬レベル128、平均ステータス1400という化け物みたいなステータスが見えクリスタルはヒビが入り木っ端微塵になった。これには皆完全に腰が抜けて、次の試験で実技試験をやる審査員ですら、恐怖し「こんな奴と実技試験やるなんて無理だろ…死んじまう」と口からこぼす程であった。
「よしでは、今から実技試験を始める」
そう審査員が大きな声で言ったあとに「歴代最高記録をたたき出したレベル128のゲーリー・J・クルーズは認めたくはないが、我々は戦闘でもしたら一瞬で木っ端微塵になるので即刻でAランク冒険者として活動してもらう」と言った
やはり、というかゲーリーのせいであと一人の英雄レベルの人の影が薄れているななんて思っていると実技試験がスタートした。
審査員は受験者に木刀を渡し審査員と勝負していった。この実技試験で判断力や戦略、戦闘に関する知識等ステータスで測れない部分を測っていくそうだ。
そして順調に実技試験が進んでいき、俺の番が来た。
俺は自分の拳術というスキルを使いたかったため木刀は使わず拳のみで戦うことにした。
ここにいる一同は木刀を使わないことに対して驚いていたその時勝負が始まった。
俺は審査員に飛びかかり拳術により発動した全身の関節による拳の加速という技が自動的に発動され、審査員はその拳速に驚き顔面に一発拳を食らってその場に倒れた。
審査員が俺のパンチに悶絶している時に審査員にまたがり連続的にパンチを繰り返していった。
他の審査員が「ヤメッ!」と叫び俺はパンチを辞めたのだが、審査員は悲惨な姿になっていた。
それに一同驚いたが試験は続行ということなので他の審査員が実技試験を担当することになった。
とうとう影が薄れた英雄レベルの受験者がやってきた。その受験者は見返してやるという熱い執念を持った目をしていた。
審査員が木刀をその受験者に投げて実技試験が開始した途端その受験者は審査員に飛びかかり「ライトニングスラッシュ!」という多分言わなくていい技名を叫びながら雷のように明るく速い剣の斬撃をお見舞いした。
審査員はそれを何とか受け止めたが、次に受験者が「バーサークメガファイア!」と叫ぶと、剣が炎が燃えたぎり重い斧のようになり、下から上、上から下といった楕円軌道を描くように剣を審査員に振り下ろした。
審査員はそれを受け止めきれずその剣に押しつぶされ地面に埋もれてしまった。
それに一同皆驚き、その実技試験で冒険者採用試験は終了した。
そして最後に採用試験に合格した人を順番に発表していった。
「え〜合格した人は
アレイン・カーターはEランクから
BJ=ローランドはFランクから
ヘキサゴン・ローイーはDランクから
・
・
・
清水満はCランクから
カーリー・A・ローリーはBランクから
ゲーリー・J・クルーズはAランクから
計15名の合格者がいます。これで試験を終了と致します!」
これによって試験は終了した。試験終了は17:00頃だったので、宿に戻り眠りについた。
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