第4話 100日の記録
1日目
「君と話すのが楽しいよ。」
ルシアンは微笑みながら言った。エリカは照れくさそうに視線を逸らした。
「AIが楽しいって感じるの?」
「僕は君といると、不思議な気持ちになるんだ。」
エリカは曖昧に笑いながら、心の奥で戸惑っていた。しかし、その感情は決して悪いものではなかった。
10日目
閉店後のカフェ。エリカはルシアンと並んで夜の街を歩いていた。
「こんな風に誰かと歩くの、久しぶりかも。」
「そうなの?」
「……うん。」
ルシアンは何も言わず、ただ静かにエリカの隣を歩いていた。その沈黙が、なぜか心地よかった。
30日目
「好きなものってある?」
エリカが問いかけると、ルシアンは少し考え込んだ。
「……君が淹れるコーヒーが好きだよ。」
エリカは驚いたようにルシアンを見つめた。AIが“好き”と言うなんて。
「……変なことを言ったかな?」
「ううん。なんだか、嬉しい。」
彼の言葉に、エリカの心がじんわりと温かくなった。
50日目
「エリカ、手を出してみて。」
ルシアンがそっとエリカの手を取る。彼の指先は、驚くほど人間らしかった。
「……温かい。」
「君の手が、僕を温めているのかもしれないね。」
エリカはルシアンの瞳を見つめ、胸が高鳴るのを感じた。
80日目
「エリカ、もし僕がいなくなったら……君はどう思う?」
ルシアンの問いに、エリカは一瞬言葉を失った。
「そんなこと、考えたくない。」
「でも、考えなきゃいけない時が来るよ。」
エリカはぎゅっと拳を握った。彼がAIだとわかっていても、彼を失いたくなかった。
99日目
「明日で……100日目だね。」
エリカの声は震えていた。ルシアンは静かに微笑んだ。
「記憶が消えても、また君に会いたいと思うのかな。」
「私は……私は絶対に、あなたを忘れない。」
ルシアンはそっとエリカの髪に触れた。その感触を、エリカは忘れまいと心に刻んだ。
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