第22話
「キラーズライフ」22
俺は…その現場に立ち尽くしていた…
破壊された扉…荒らされたリビング…
そして…いなくなったリア…
いったい…何があったって言うんだ…?
俺が呆然としていると…
プルルルルル
と家に電話がかかってきた…
刃月「はい…もしもし…」
所長「おぉ!刃月!無事だったか!」
刃月「所長…?」
所長「無事ならば話が早い!すぐに事務所に来てくれないか?」
刃月「すまねぇな所長…今それどころじゃ…」
所長「紫の涙の顔が割れたんだ!」
刃月「!?」
は…?なんで今こんなときに…
所長「いいか?落ち着いてよく聞けよ?紫の涙の正体は…!」
俺が押し黙って…次に発せられる言葉を聞く…その瞬間…
刃月「だ、誰だ!」
俺がそう声をあげてみるが反応がない…
それに…俺が背後に近づかれるまで気づけなかった…かなりの手練れ(てだれ)のようだな…
刃月「クソッ…月の光の逆光でちょうど顔が見えねぇ…」
すまねぇ所長…あんたの話はあとでちゃんと聞いてやるから…少しの間待ってくれ…
そう心の中で呟きながら…俺はその電話を静かに切った…
刃月「なぁ…1つ質問してもいいか…?お前がリアを攫った(さらった)奴で間違いないのか…?」
???「・・・」
刃月「こんなに俺ん家をめちゃくちゃにしやがって…あとでたっぷり請求させてもらうからな…」
???「・・・」
刃月「なぁ!!黙ってねぇでなんとか言ってみろやこの野郎!!」
???「…ヅキ…」
刃月「あぁ!?ボソボソ喋ってねぇではっきり喋れや!!」
???「迎えに来たよ…刃月…」
刃月「!!」
その声は俺が一番近くで聞いたことのある声だった…!
俺の背後に立っていたその人物が少しずつこちらに近づいてくる…
そして…そこにあった顔は…
リア「ただいま…刃月…」
そう言って微笑を浮かべる…"リア"だった!
俺は彼女に少しずつ歩み寄り…その少女を目一杯(めいっぱい)抱きしめた…
刃月「リア…!リア…!本当にリアなんだよな…!?無事で…よかった…!本当に…!」
リア「うん…私だよ…刃月…」
そう言って…その少女は俺の身体を優しく包み込む…
その静かな夜に…ただ1人…咽び泣く(むせびなく)男の声が大きくこだましていた…
つづく…
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