後の祭り
あけび
後の祭り
この部屋は日が当たらない。一軒家だが、別にほかの高層マンションなどの影に覆いかぶさっているわけでもない。なんで日が当たらないのだろう。そうか、年中カーテンを閉め切っているからだ。外を見て何が楽しいのだろう。僕より小さい子供たちが元気に遊んでいる声が聞こえたり、近所のおばさま方が和気
--後の祭り--
事の
そこからだろうか、僕が道を踏み外したのは。いや、正確にはこれから自分が進むところに上手に道を作れなかったのだ。テレビは、「友達は無理してたくさん作らなくていいよ」とか、「自分のやりたいことをやるべきだ」とか、そんな言葉で溢れていた(もしかしたら、僕が自分の都合のいいように解釈して
久しぶりにショックを受けたのは、僕が中学を卒業してからだ。中学を卒業して数週間後、みんなで高校の制服を着て集まろうという話になった。久々のみんなの顔を見て、特に思い出もないはずなのになぜか懐かしさを感じた。他愛もない話をして、集合写真を撮って、お別れしようという話になった。僕と数人は一緒に帰っていた。でもその数人以外の他のみんなは、その後焼肉パーティをするとかいう話になっていたそうだ。これはその数人のうちの一人から聞いた伝聞である。端的に言うと、僕らは誘うに値しないから除け者にして他のみんなで集まったということだ。まぁ、当然である。今までこの文章を読んできたなら、理由は一目瞭然だろう。僕はそこで初めて大きなショックを受けた。凹んだ。自分は好きなことをしていれば他はどうでもよかったはずなのに、そこでその理論は崩れ去った。何が僕をそんな茫然自失にしたのだろう。今になって考えてみると、他の人が怖かったからだと思う。学校ではまったく嫌われれている気配はなかった。嫌っていることを隠して僕と接していたのだから、誰もがやさしい人を演じて僕と接していたわけである。そんな人たちが自分の周りに3年間も
高校に入学してからは、進路も同じ方向の子たちが多いから、たくさん話すことができた。僕は学校の中で一桁台に入るほど成績が良かったので、周りの人たちに勉強も教えることができた。でもそれだけじゃ足りない。それしか取り柄がないんじゃまた嫌われるかもしれない。僕は自分を作っていた。まるで、中学の頃に演じられていたことに対する八つ当たりのように。曲だってほとんど聞かないのに、まるで普段から聞いているような口ぶりをした。キタニタツヤだってよく知らないし、なとりだって知らない。しかしこの世には、有名な曲を知っていないと変わり者として判断されるという不文律が存在するので、僕も知らないとまずいだろうと思って家に帰ってから飛ばし飛ばし曲を聴いては、ここの歌詞いいよねとか言っていた。アニメとか漫画とかも同じだ。まったく興味ないのに、有名なものの粗筋をネットで読んでは話に割り込んでいた。僕は迎合を覚えた。中学の頃の自分とはおさらばできると考えていた。でも普段から遊ぶ友達とか、端末越しに通話してゲームしたりする相手はいなかった。コミュニケーション能力はないし、面白い話なんてできないから、無理して全員と仲良くなろうとして撃沈した。みんなが、僕のことを7番目ぐらいの友達だと認知しているのだ(因みに1クラスには約40人いる)。そういえば家には自分の部屋がないから人を呼べないし、通話だって親にうるさいって言われてできない。結局、いろいろしようとしてもすべては無駄だったのかもしれない。そう思って、また二次創作活動に戻るのだ。無駄に地頭が良かったので、高校2年生になって特進クラス(頭がいい子たちが集まるクラス)に進級しても、勉強しないし、
ずっとこのまま、他の人のことなんて知りたくなかった。休みの日に、みんなは○○に出かけてるとか、そんなこと知りたくなかった。自分が
僕の名前は
後の祭り あけび @akebin0620
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