第18話
「……伊織はさ、俺が好きって言わなかったら、
俺のこと、友だちとしか思ってなかっただろ?
だから、つきあって、ゆっくりでも俺のこと好きになってくれるまで
待つつもりだったんだよ」
泣き続けるあたしの顔を覗き込んで、
「まだ……不安?」
雅弘は切ない表情を浮かべた。
「……雅弘みたいに完璧な人が、なんであたし、なの?」
「なんでって…気づいたときには、
好きだったから。
それに俺、完璧なんかじゃない。
俺だって、不安だよ。
伊織が、他のヤツのこと好きになったらどうしよう、とか、
考えると怖いよ?」
不安?
怖い?
雅弘も?
雅弘の気持ちも考えないで、
あたしは自分の不安ばかり、押しつけた。
はずかしくて、俯くことしか、できない。
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