第16話

あたしの部屋に入って隣同士に座ると、



雅弘の右手があたしの左手を包み込んだ。





「ごめんな、ほったらかしにして」



「怒ってないの?」



「なんで?怒るとしたら、伊織のほうだろ?」



「だって、何も言わずに帰ったりしたから」



「……心配したけどな」



握っていた手をギュッと強く握られた。



「ごめんなさい……」



「いいよ、言って、言いたいこと」





雅弘は静かにあたしが口を開くのを待っている。



雅弘の手から確かな温もりが伝わってきて、



だんだんあたしも落ち着きを取り戻した。

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