臭いッ、鼻もげる!鼻もげさん👃

夢月みつき

「鼻もげ、それは鼻の妖精」


 じいちゃんの子供の頃は妖精とか妖怪とか普通にいてのぅ。

 そうそう、こんな妖精だか妖怪だったかもおったな。


 鼻もげさん、それは春に良く出没する鼻の妖精。大きな鼻に目と手足が付いた珍妙な妖精なのじゃ。


「え~っ、それ本当? じいちゃん」


 本当だよ、それでの。鼻もげさんは犬並みに嗅覚が鋭くてな。

 じいちゃんがたとえば、おならをするとするだろう?


 するとな、どこからか……

「臭いッ、臭いッ! 鼻もげる」と声がしてきて鼻もげさんが飛び出してくるのじゃよ。


「なにそれ、面白~い」


 そうじゃろ? それが愉快で、じいちゃんは良く楽しみにしていたんじゃ。

 それと、鼻もげさんはシチューが好物でのう、シチューの日には良く出没しておった。


 ひいばあちゃんの目を盗んで妖精にシチューを馳走ちそうしとったな。


「へえ、今日はママがシチューだって言ってたからもしかして?」

 うむっ、来るかもしれないのぅ。


 ぶっ、


「あっ、アハハ! じいちゃん。おならした~」


 そして、へんてこりんなモノが大騒ぎしながら物陰から飛び出して来た。



(鼻もげさん・AIイラスト)

①の姿

https://kakuyomu.jp/users/ca8000k/news/16818622172034681731

②の姿

https://kakuyomu.jp/users/ca8000k/news/16818622172035819097


「臭いッ、臭いッ! 鼻もげる! こりゃたまらん」


「あっ!」


 おっ、鼻もげさんじゃ! 懐かしい、まだいたんじゃの。


「シチュー食べるかな?」


 後で持ってきて置いてみるか、何代目の鼻もげさんか分からんが再会祝いじゃ。


 終わり


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 お読みくださり、ありがとうございました。


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