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概要
アラカン女の新幹線一人旅、隣の若い女性から「君はかわいい」と言われ……
仕事一筋で生きてきた私は、定年を前に新幹線で息子夫婦を訪ねることにした。盛岡から四国四万十への旅。慣れない旅にそわそわしながら席に着くと、何故か隣に座る若い女性が突然泣き出す。若い頃にはいろいろあるもの、そっと見ないふりをしていると、泣き方がどんどん激しくなり、しまいには私につかみかかるように迫ってくる。「すみません、変だということは自分でも分かっているんです。それでも言わずにはいられないんです。もう、どうしても言いたい。かわいい! 君はかわいい!」彼女の目が迷いなく私を見ておかしなことを真面目に言った。君……と言った。私を君と呼ぶ人がこの世でたった1人いた。普段は名で呼ぶくせに、とても大切なことを告げる時だけ私を君……と。
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