第46話

愛丸は胸が詰まった。

清一郎は誰よりも自分を理解してくれているのに、それを忘れていた自分がとても情けなかった。

「俺って馬鹿だな…始めっから兄貴に隠すことなんてなかったのに…ちゃんと話せば分ってくれない訳無いのに……」

 そう呟くと、愛丸は零について全ての事を清一郎に打ち明けた。

 清一郎は零に指紋が無いことに気付いてから在る程度は予想していたらしく、意外と冷静だった。

「それで、本当に愛の体に害は無いんだな?」

 話しを聴き終えた清一郎はそれが一番気掛かりなようだ。

「うん。それは大丈夫だと思う」

「そうか、なら良い。だが…少しでも愛に害があるようなら零には悪いが直ぐに出て行ってもらう。いいな」

「分った」

 念を押す清一郎に愛丸はきっぱりと答えた。

「じゃあ早速明日からメニューを考え直さないとな」

 清一郎の顔がにまぁ~と緩む。

「何でだよ、別に今迄と同じで良いだろ?」

 愛丸は何となく嫌~な予感がして眉をしかめる。

「いいや、愛が貧血にでもなったら大変だ、これからはレバーとかホウレン草とか嫌いな物もちゃんと食べて貰うからな」

「え~そんなぁ…」

「これで愛の好き嫌いも少しは無くなるだろ。レイ様々ってとこかな」

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