第38話
食事の度に言い訳を考えるのは結構厄介な事だ。
これから先、毎日こんな思いをしなければならないのかと思うと、正直どうすれば良いのか分らなくなる。
(ま、いっか。バレたらバレた時の事ってか)
愛丸が開き直って境内に出てみると、社の向うに竹箒を持って立っている零の姿が見えた。
しかし、愛丸は直ぐに声を掛けることが出来なかった。
普通では起こり得ない事が起きていたからだ。
木の葉や塵が何かに吸い寄せられるように零の足下に集まって来る。そして、それらは零の手に触れること無く袋に収まって行くではないか。
愛丸は不思議なものを見ているように暫しその光景にみとれていた。
「愛丸、おはようございます」
その気配に気付いたのか、振り向いた零は愛丸の姿を認めるとニッコリ笑って声を掛けた。
「あ、おはよう。Gパン…良く似合ってる」
零の笑顔が余りにも人懐っこかったので、愛丸は言おうとしていたこととは全然違う事を言っていた。
「有難うございます」
零が嬉しそうにまたニッコリ笑った。
「昨夜はよく眠れた?」
愛丸はそう尋ねながら(エイリアンって眠るんだろうか?)などという思いがチラリと脳裏に浮かんでしまった。
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