第36話
「兄貴……」
(ごめん。何時かきっと本当の事話すから……)
愛丸は心の中で清一郎に詫びていた。
「今日はもう遅いから早く風呂に入って寝なさい」
「うん、そうする。」
愛丸は素直に答えた。
「そうだ、零も一緒に入るといい。少しは気持もほぐれるだろうから、じゃあ」
清一郎はそう言うと部屋を出て行った。
嘘を吐いた事で少し落込んだ愛丸は、その後、風呂に入ってから寝床に就いた。
零と出会ってから一度に色々な事が有ったせいか、愛丸は横になると直ぐにドッと疲れが出てきて、いつの間にか深い眠りに落ちていた。
翌朝、愛丸は障子を通して差し込む和らかな光の中で目を覚ました。
「ミリア‥‥?」
愛丸はぼんやりとした意識のなかで何気無く口にした名前にハッとして飛び起きた。
昨夜の事がまるで夢のような出来事だったので、もしかしたらあれは本当に夢だったのかもしれないと思ったのだ。
しかし、それは夢ではなかった。
愛丸の横には客間の布団と零が着ていたパジャマ、それにスペーススーツがきちんと畳んで置いてあった。
「ミリア…じゃない、零もう起きたのか‥‥」
愛丸は急いで着替えを済ませると、布団を片付けてダイニングを覗いた。
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