第31話
「あの、愛丸……」
ミリアが改まるように言った。
「何?」
愛丸は何気なく答えた。
「宜しければ……血液を少し……頂けないでしょうか?目覚めてから何も吸収していないので栄養源の補給をしておきたいのですが……」
「いっ!あ、いやぁ……そのぅ……」
愛丸は即答することが出来なかった。
しかし、こう丁寧に言われたのでは無下に断ることも出来なくなってしまうではないか。
この様子からすると、愛丸が拒否すればミリアは決して無理強いなどしないだろう、そうなるとミリアはまた何時巡り逢うとも分らない新しいマスターを探さなければならないのだ。
(やっぱり、ダメだよな……そんなこと……)
「いっ、良いよ、血……吸っても」
愛丸は思い切って答えた。
「本当に宜しいのですか……?」
ミリアは少し困惑したように尋ねた。きっと愛丸の顔が引きつっていたに違いない。
「う、うん……でも、ちょっと待って……」
愛丸はそう言って目を閉じると、二、三度大きく深呼吸をした。思い切ったとはいえ、やはりそれなりに心の準備は必要だったのだ。
「いいよ……」
暫くして、愛丸は目を閉じたまま言った。
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