第30話

「そうか……え?でも、まてよ……」

 愛丸の頭の中で不意に新しい疑問がわき起こった。

「だったら……なんで俺がマスターになれるんだ?」

愛丸は改めてミリアの顔を見直った。

「愛丸の血液は博士の血液と成分が一致するからです」

「エッ!」

これには流石に愛丸も仰天してしまった。

遥か遠くの星の異星人に血液が流れている事も然ることながら、その成分まで一致しているなんて殆ど奇跡と言っても良い。

「でも何でそんな事分ったの?」

「シップのセンサーが感知したのです。

それで自動的に私の仮死睡眠が解けて此処に来た訳なのですが、うまい具合に愛丸もシップに興味を抱いて追って来てくれましたので、容易に逢うことが出来ました」

「裏山に下りたのは偶然じゃなかったんだ」

「はい。これで凡その事はお分かり頂けたでしょうか?」

「え、あ、うん大体は……」

愛丸はそう返事をしたものの、何かスッキリしない。

グロックナー博士はいったい何故態々共生型の吸血鬼など作ったのか?そこのところが何となく引っ掛かるのだ。

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