第24話
「だぁ~っ、放せって!気持ち悪いっ」
愛丸は清一郎を無下に突き放す。
清一郎は、外であろうと人前だろうとお構いなしにスリスリして来るのだから堪ったもんじゃない。
「そうやって、何時までも子供扱いすんなよっ!頭にくる!!」
「愛……」
清一郎の顔が俄に曇った。
「あ……ごめん……そりゃあ、兄貴には感謝してるよ……母さん達が死んでからずっと俺の面倒みてくれて……」
普段はなかなか口に出せないけれど、これは愛丸の清一郎に対する素直な気持ちだ。
「だけど、もう……俺だって自分の事くらい自分で出来るよ。だから……俺の事なんか気にしないで早く良い人見付けて結婚しろよ」
愛丸の声はしんみりとしていた。
「何だかんだ言っても、やっぱり私のことをちゃんと思ってくれてるんだね……」
清一郎の声も心なしか静かだった。と、思った途端
「愛ちゅわ~ん、私は嬉しいよっ!」
清一郎は両手を広げて愛丸を抱き締めようとしたが、愛丸はヒョイと身を躱して
「その呼び方は止めろって、何時も言ってるだろッ!それから直ぐに抱き付くのも止めろっ!」
「恥かしがることないだろぅ」
「恥かしいわッ!!」
「オムツだって取替えてやったじゃないか」
「それは無い。絶対無いっ!! 年を考えろよ」
「良いじゃないか、二人っきりの兄弟なんだから」
「良くないッ!ちゃんと愛丸って呼べよ、その方がまだましだ……ったくぅ」
何が楽しいんだか、清一郎はニコニコしている。
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