第23話
「当り前だ、布団くらいちゃんと用意するよ、客間のがあるだろ?」
「あ、そうか、それもそうだな。愛と同じ布団で寝れる訳ないか……」
「それ、どう言う意味だよっ?」
愛丸が清一郎をギロリと睨み付ける。
「愛の寝相の悪さは天下一品だからな。ハッハッハ」
「なぁにが『ハッハッハ』だ、終いにゃ殴るゾ!」
「殴る?兄の私を殴る……?愛は何時からそんな事を言う悪い子になったんだろう……あぁっ……きっと母さん達も草葉の陰で嘆いているよ……」
清一郎は皺を寄せた眉間に指を添えて俯いてみせる。
「いちいち大袈裟なリアクションすんなよな、まったく……そんなだから嫁さんの来手が無いんだよっ!」
「それは違うぞ、愛」
清一郎は途端に真顔になって顔を上げたが、それも清一郎お得意のパフォーマンスのようなものだ。
「なぁ~にが違うんだよっ?」
愛丸は呆れたようにじと~っとした流し目を寄越すが、清一郎は全く気にする様子が無い。
「私は……お前を一人前の立派な男に育て上げる迄は、結婚などする気は無いのだ」
「俺はもう一人前だよっ!サッサと結婚でもなんでもすりゃ良いだろっ!」
「愛ぃ~っ、それは余りにもつれないんじゃないかぁ」
清一郎はそう言いながら、愛丸をひしと抱き締めて頬を擦り寄せてきた。
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