第19話

「そっか……俺、本当に気分悪いのかと思ってちょっと心配したよ」

「すみません」

「謝ることないよ、俺もどうしようかと思ってたとこだから。ま、でも一応布団は敷いとかないとね、兄貴が見に来るとまずいから」

愛丸はそう言いながら、押入を開けると布団を出して敷いた。

「じゃあ、俺、戻るけど、独りで大丈夫?」

「ええ、大丈夫です」

「そう、なら此処で待ってて、直ぐ戻るから」

愛丸はそう言い残すと、再びダイニングへ戻って行った。


「具合は?どんな様子だ?」

 戻って来た愛丸に清一郎がすかさず尋ねる。

愛丸は椅子を引いて腰掛けながら

「うん、大丈夫みたいだ、今んとこ落着いてる」と答えた。

「そうか……」

それを聞いて清一郎も一応安心した様だ。

「可哀想に……余程怖い目に遭ったんだな……」

涙脆さでは天下一品の清一郎は、そう言っただけで早くも目をうるうるさせている。

「どうして?そんな事分らないじゃないか」

「彼の歳は多目にみたとしても精々二十四、五ってところだろう……」

確かにミリアは白髪という事を除けば二十歳過ぎくらいにしか見えなかった。

「その歳であの白髪は不自然過ぎる、脱色したとしてもあそこまで真っ白にはならないだろ」

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