第18話
愛丸は考えるのを止めた。
詳しい事は後で訊けばいい、それよりも今はこの状況をなんとか切り抜けるほうが先決だ。
清一郎は何も知らずにせっせと食事の用意をしているのだ。
「あの……すみません、少し気分が悪くて……」
ああ、なんということだろう、ミリアはまるで示し合わせていたかの様に絶妙なタイミングでそう言ったのだ。
テーブルに惣菜を並べていた清一郎はそれを聞いてミリアの方へ目をやった。
「後遺症のようなものが残っているのかな……?とにかく少し休んだほうがいい。愛丸!」
人の良い清一郎は、心配気にミリアを気遣って愛丸に目で合図した。
「分った。俺の部屋で休ませるよ、おいで」
愛丸は、俯き加減に立ち上がったミリアに連れ添ってダイニングを後にした。
愛丸も少し心配になっていた。それはミリアの体が地球の環境にまだよく馴染めなくて、そのせいで気分が悪くなったのではないかと思ったからだ。
しかし、ミリアはそんな愛丸の心配を余所に、愛丸の部屋に入るなり
「これで良かったでしょうか?」
と、ニッコリ笑って言った。
愛丸は、その一言で全ての事情を呑み込むことが出来たのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます