第18話

 愛丸は考えるのを止めた。

詳しい事は後で訊けばいい、それよりも今はこの状況をなんとか切り抜けるほうが先決だ。

清一郎は何も知らずにせっせと食事の用意をしているのだ。

「あの……すみません、少し気分が悪くて……」

ああ、なんということだろう、ミリアはまるで示し合わせていたかの様に絶妙なタイミングでそう言ったのだ。

テーブルに惣菜を並べていた清一郎はそれを聞いてミリアの方へ目をやった。

「後遺症のようなものが残っているのかな……?とにかく少し休んだほうがいい。愛丸!」

人の良い清一郎は、心配気にミリアを気遣って愛丸に目で合図した。

「分った。俺の部屋で休ませるよ、おいで」

愛丸は、俯き加減に立ち上がったミリアに連れ添ってダイニングを後にした。

 愛丸も少し心配になっていた。それはミリアの体が地球の環境にまだよく馴染めなくて、そのせいで気分が悪くなったのではないかと思ったからだ。

しかし、ミリアはそんな愛丸の心配を余所に、愛丸の部屋に入るなり

「これで良かったでしょうか?」

と、ニッコリ笑って言った。

愛丸は、その一言で全ての事情を呑み込むことが出来たのだった。

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