第16話
「それじゃ、夕飯にしよう。そちらの方も一緒にどうぞ、お腹空いているでしょう?」
清一郎は今し方の事などケロリと忘れてしまった様にそう言うと、サッサとダイニングへ向かった。
「行こう」
愛丸も仕方なくミリアを促して清一郎の後に続いた。
(そういえば……ミリアがどんな物食べるのか、まだ訊いてなかったなぁ……)
尋きたい事は山程ある、しかし清一郎の前でそれを尋くわけにはいかないのだ。何しろミリアは記憶喪失の筈なのだから……。
ダイニングへ向かいながらそんな事を考えていた愛丸に、ミリアが何事かをそっと耳打ちした。
その途端、愛丸は突然「へっ!」と、素頓狂な声を上げて立ち止まった。そして、マジマジとミリアの顔を見直った。
「どうかしたのか?」
愛丸の声に引止められて振り返った清一郎が尋ねた。
「あ、いや別・に……何でも無い。さぁ、メシメシ」
愛丸は慌てて何事も無かったかの様に取り繕うと、清一郎の背中を押してダイニングへ入って行った。
そしてミリアも静かにその後に続いた。
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