第5話

 愛丸はなおも様子を窺った。

よく見てみると、エイリアンも辺りの様子を窺っている様だ。

暗闇に慣れた目が少しずつはっきりとしたものを浮かび上がらせる。

それは、反って愛丸を改めて驚かせる結果を生む事になった。

 形こそ人間とあまり変わらないが明らかに人では無い生物がこちらをじっと見詰めているではないか!

(気付かれたっ!?)

愛丸は咄嗟に身を潜めた。

(逃げなきゃ……)

頭の中では漠然と思うのだが、直ぐには体が言う事を聞かない。

それでも、じりじりと後退りをすると、やっとのことで後へ向き直った。

だが、なんと言う事だろう、振り向いたその先には既にエイリアンが立っていたのだ。

愛丸はアッと思って振り返ってみたが、さっきまでエイリアンが立っていた所にはもう誰も居なかった。

テレポートしたのだ、そうとしか考えられない。

「そんな……」

愛丸はゆっくりとエイリアンの方へ向き直った。

薄い鈍色の皮膚、真っ白く長い髪、そして、翠を帯びた金色に輝く大きな目には紫に透き通ったアメジストの瞳が…しかし、そこには瞳孔も虹彩も無かった。

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