第3話
「あっ…ああっ……」
愛丸は驚きのあまり言葉を失った。
話しには聞いていたが、まさか自分がUFOに遭遇するとは思ってもみなかったのだ。
それも今、手が届きそうなほど間近にいるのだから信じられないのも無理はない。
しかし、そのUFOは、身動ぎ一つせずに見詰める愛丸を余所に、飛行物体とは思えない程ゆっくりとした速度で裏山に向かって行った。そして、裏山の上空まで来るとその場で光らなくなった。
愛丸は、辺りが急に暗くなった事でハッとして我に返った。
目を凝らしてよく見ると、光を失ったUFOが金属を思わせる輪郭を僅かに残して夜空の闇に溶け込む様に浮かんでいた。
(まさか、あそこに降りるつもりじゃあ……)
愛丸がそう思ってじっと見詰めていると、UFOは音も無く静かに降下を始めた。
やはり裏山に降りるつもりなのだ。
(行ってみよう!)
愛丸は何かに弾かれる様に裏山に向かって駆け出した。
ついさっき迄の疲れなど、もう何処かへ吹き飛んでいた。
境内を突っ切って裏山へ続く小道を駆け上がり、雑木林の間を縫う様にして暫く登って行くと、やがて傾斜が緩くなってくる、その辺りが頂上だと思われるが、樹が生い茂っているうえに夜のことなので定かではない。
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