第69話

「これは…イヤリングです。」


「…そう。開ける気はないの?」


何度も行ったり来たりして耳の輪郭をなぞる理人さんの指がくすぐったい。


「どうかな…、痛そうだし。」


開けてみたい気持ちはあるけど、痛いのは嫌だな。

耐えられる自信がない。


「…そう。」




あたしから外された視線を、あしたから離れた指先を寂しいと思うなんて――――

――――――どうか、してる。


―――だめだ。



熱を持ち始めた頬を誤魔化すように足早に部屋を出ようとすると、扉の前にトン、と腕が伸びてきた。

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