第47話

「…ったく。ごめんな?あいつ、いつも我儘ばっか言ってるでしょ?」


壱さんは、理人さんとあたしのご飯の材料を買ってきてくれたり、困ったことはないか逐次様子を見にきてくれたりするので少し距離が縮まった気がする。

まぁ、あたしがってだけだけど。


袋から嬉々として小麦粉やバターなど次々に取り出す七彩を見て壱さんは溜息をこぼす。


やっぱりあの買い物袋の中身はパンケーキの材料だったんだな。


「いえ、騒がしくて楽しいです。」


自由奔放な七彩とそんな七彩に振り回される壱さんを見てあたしは気づかれないように小さく笑った。


どうなることかと思った共同生活は意外とあたしに合っているのかもしれない。




弟が失踪して1年。


あたしと施設で暮らすよりも、理央が幸せならそれでいい。

元気に生きてさえいればそれでいい。

心の中でそう願いながらも、所詮それは綺麗事でしかなくて唯一の家族に切り捨てられたかもしれない不安や惨めさが消えることはなかった。


いつか帰ってきてくれる。

なんて信じて、淡い期待を抱き続けるのももう限界だった。

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