第40話

…なんて言葉は全て喉の奥に押し込んだ。

目の前で切れ長の目を細めて笑う壱さんにはどうしても言える訳がなかった。


機械じみた笑顔の理人さんとは違って営業スマイルとは言えど、壱さんの笑顔には温もりがある。

その差はどこから来るのかわからないけど。


「じゃあ、部屋へ案内するよ。二人は仕事に戻って。」


荷物が届くことを確認すると理人さんはキーボードを叩いていた手を止めアームチェアから腰を上げた。


理人さんにエスコートされながら扉の前まで行くと、壱さんはスッと端に避け深く頭を下げ、七彩も不満そうではあったけど扉を開けてくれた。

(ただ舌打ちはめっちゃでかかった。)


廊下に出ようと足を踏み出した時、


「若。」


壱さんの声があたしたちを止める。

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