第35話

「だってそうでしょ!?客と一緒に住むだなんてありえないよ!もし、こいつが外に情報漏らしたらどうすんの!?」


「しないよ。契約したでしょ。」


「契約したって破る奴は破るんだよ!」


「させないよ。」


「…あのさ…言いたくないけど、もしこのメスガキとあいつを重ねてんなら、」


「七彩。」


底冷えした静かな声は一瞬でこの場を凍りつかせた。

僅かに怒気を含んだそれは先程まで緩やかな笑みを口元に携えていた男から出たものとは、およそ思えない。

七彩を見上げる瞳は猛禽類のよう獰猛さを孕んでいて思わず息をするのも躊躇った。


「…僕がさせないよ。それに案件も特別難しいものじゃないし、これぐらいが妥当だと思うよ。…いいね?」


七彩も壱さんも言い足りないようだったけど、渋々といった感じでソファへ座りなおした。


ーーーーーあぁ、この人もちゃんと鬼なんだと思う。

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