第36話

「…君も。それでいい?」


さっきまでの脳内での悪態とは打って変わって、あたしは命惜しさに必死に首を縦に振った。

ここで首を横に振ろうものなら、あたしはきっと八つ裂きにされていただろう。


「…じゃあ施設から君の荷物を送ってもらうよう頼んでおくよ。」


「…えっ、頼んでおくって、」


「…?ここで2週間生活するんだよ?色々とないと困らない?」


それはそうですけど!あたしが聞いてるのはそういうことじゃなくて!


なんて心の中で騒いでいる間に理人さんは数枚の書類を壱さんに渡していて、あたしだけを置いて事は順序よく進んでいるようだ。


「雨宮さんが心配されている諸々は、こちらが上手くやっておきますんで。ご心配なく。」


未だ混乱状態のあたしを見兼ねてか、壱さんが申し訳なさそうにフォローを入れてくれる。

本当、あんた苦労性だよ。

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