第34話

「君のいた施設は家事を子どもたちで分担してやっていたそうだね。…だから、できるよね?」


しかし、あたしに考える暇を与えないかのように容赦なく止めを刺す。

どうしてうちの施設が当番制なのを知って...、いやそんなことは聞かなくても分かることだ。


どんなに穏やかそうな容姿でも、どんなにとち狂ったことを言っていたとしても、彼らが鬼蜘蛛であることは変わらないのだから。


あたしは報酬条件を譲歩してもらってる側。

下手に出る他なく、せめてもの抵抗として視線を逸らした。


…でも待って!絶対無理なんだけど!!!!

だって…だっておかしくない!?色々おかしくない!?

ほぼほぼ初対面の人と2週間も一緒に暮らすなんて無理だよ!?

しかも同性ならまだしも、男だよ!?


「ねぇ理人君、鬼蜘蛛壊滅させたいの?」


とうとう堪忍袋の緒が切れたのか七彩はワンオクターブ低いドスの効いた声で理人さんに凄む。


「どうして?」


対照的に理人さんは、あいもかわらず飄々とした態度のまま。

その態度が余計に七彩の神経を逆撫でした。

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