第22話
「この手紙、怪しいとか思わなかったわけ?」
ずっと沈黙を貫いていたツーサイドアップが遂に口を開いた。
「…弟を探すのに必死で、もうなりふり構ってられなくて…。」
弟を煙たがる施設の大人。
警察に届けを出そうにも、“弟くん、有名な不良らしいじゃない?聞いてもらえないわよ”の一点張り。
消えた弟への思いだけが膨らんでいく八方塞がりだったあたしにとって、その手紙は一筋の光だった。
全く疑わなかったわけじゃない。
だけど“もしかしたら”って望みを捨てきれなくて、一縷の望みをかけてここまでやってきた。
まさに天から垂らされた一本の蜘蛛の糸だった。
「…そりゃあ素晴らしい家族愛だことで。」
乾いた笑みと共に刺々しい言葉を吐き出したツーサイドアップ。隣の壱さんが小声で“おい!”って諌めてたけど、右から左へ聞き流していそうだ。
…一体あたしの何が気に食わないのさ…。
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