第11話
小雨がしとしとと車窓を叩く音をBGMに黒塗りのワンボックスカーは目的地を目指す。
にしてもだ。
「……。」
………気まずい。気まずすぎる。
後部座席に座るあたしの両隣には黒髪短髪とツーサイドアップ。
あたしは護送される容疑者か何かか。
路地で会った時には殺気立ってキャンキャン吠えていたツーサイドアップは今じゃ頬杖をつきフルスモークの窓をじっと見つめて微動だにしない。
黒髪短髪だって、ついさっきまで愛想良く振る舞っていた癖にかたく目を瞑ったまま腕組みをして一っ言も話さない。
そんな二人に挟まれて身を小さくするあたし。なんだってこんな仕打ちを受けなければいけないのか。
ちら、と運転席と助手席を見遣るけど理人さんも運転手さんも沈黙を破るような気配はない。
静かに降る雨音が今日はやけに大きく聞こえた。
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