第8話

「お、鬼蜘蛛を探してる!」


あたしの言葉を聞いた二人は拍子抜けといったように固まっている。


…あたし、何か言っちゃいけないこと言った?


……ここは鬼蜘蛛が支配している街。



まさか、この二人は鬼蜘蛛の敵対勢力とか!?

自分で考えといてあれだけど、ありえる。十二分にありえる。

もしかしてツーサイドアップが首根っこを掴んでいる男は鬼蜘蛛の一員なのかも。


「…えっと、あの、それじゃあ…」


「……だってさ。聞いてた?理人(りひと)君。」


“それじゃあ、これで”と踵を返そうとした時だった。






ツーサイドアップの視線の先にいたのは――――黒いトレンチコートに身を包んだ細身で長身の男。

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