3、純白のソックス

「実はね、弱虫君がいるんだ。僕の名前はサリー。たまたま君と同じレストランで食事をしていただけなのだけど、君が弱虫君と同じメニューのハンバーグを食べているから、つい声をかけてしまったんだ。ところで、君は誰かをまっているのかな?」

 ナイフが刺さった穴から、サリーが食べ残した牛肉から出る血の色のワインがポタポタと地面に落ち、ウエイトレスの純白のソックスにはねをあげるのを見ながら、僕はサリーの手腕を観察した。きっと彼なら、何かとてつもないことか、まったく逆に意味のないことをしてくれるような気がした。

「私は、一人でこうやってイヤホンを付けながら、あなたのような人に邪魔をされずに、ハンバーグステーキのよく焼けたものを食べるのが好きなの。何か御用?」

 彼は得意げに自慢のステッキを一度回転させたかと思うと、被っていた緑色の帽子を手に取り、彼女に深々と挨拶をしながら言った。

「これは失礼。マドモアゼル。もしよければ、これから一緒にドライブに行きましょう。夜の雨たちも、きっとあなたのことをもっと近くで見たいと思っているはずです。弱虫君には好きな子がいて、この前チュッパチャップスがあまりにも美味しそうだったから、無理やりその子にキッスをしたのだけど、自分がしたことに耐えられず、その場から逃げてしまったのです。なので、レディとの付き合い方をこれから彼にレクチャーします。よければ、あなたにもご協力をと思いまして。」

「私、今夜お金ないの。もしこのハンバーグおごってくれるなら、一緒についていってもよいわ。」彼女は爆音でヘビーメタルを聞きながら、そう答えた。音楽のリズムに沿って軽く肩を揺らし、リズムをとりながら。「あと、いちごパフェも食べたいわ。このアイスクリームが乗っているのが好みだわ。私は冬でもアイスを食べるのよ」

「気が合いますね。私もパフェは大好物であります。でも、本当はチョコレートパフェの方が好きですが。いずれにしても、これで準備は整いました。来るべきそのときに備え、パフェで乾杯をしましょう。」

 それから僕たちは、一緒にパフェを食べた。どうしても、ウエイトレスの靴下についた赤い染みから僕は目をそらすことが出来ず、彼女が立てるコツコツという固い靴裏がフロアーを打ち付ける音にばかり心を奪われていた。


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