第5話 イルカたち

はじめて海救主の力が目覚めてから一夜が経った。

「あれから考えすぎて、なかなか眠れなかった…」

ザクラは寝不足によるあくびをしながらリビングへ向かう。

リビングに入ると、美味しそうな匂いが漂っていた。

「ザクラ、おはよう。早く目が覚めちゃったから、ご飯作っていたの。よかったら食べて?」

「食べる食べる!」

ザクラはそう言いながら食卓の椅子に座る。

目の前には、星利がもそもそと朝御飯を食べていた。

ザクラは思わずそれを見つめる。

「…なんだよ?」

「…いや、なんだろ。やっぱりどこかで会った気がするよ」

「…え? って、またそれかよ。」

「会ったことがあるなら、忘れている訳ないんだけど…。う-ん、思い出せない」

「…俺は、お前とはここではじめて会ったからな。それだけ言っておくわ」

星利はそう言って、食べ終えた朝食の皿を持って立ち上がる。

「ごちそうさま」

「どういたしまして」

星利はリビングを後にした。

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