第5話 イルカたち

何やら、外が騒がしい。

星利は部屋の中から、外が騒がしいのを感じた。

星利は部屋のドアを開け、外を見る。

そこには、イルカと戯れているザクラがいた。

「…なにやってんの?」

「イルカと戯れてんの。」

ザクラはそう言って、優しい笑顔でイルカたちを見る。

その笑顔を見て、一瞬星利の胸が高鳴る。


と、その時、ザクラの海宝石が光り始めた。

「え!?」

やがて光はおさまった。

すると、

「海救主さま。50人目の海救主さま。」

どこかからザクラを呼ぶ声がした。

ザクラと星利は慌てて回りを見るが、2人以外にだれもいない。

「だれもいないよね?」

「…おう、俺ら以外はな」

「下ですよ、下」

またしても声がした。

2人は取り敢えず下を見る。

下にはイルカたちがいた。

「…まさか」

「そのまさかですよ。海救主さま」

イルカの口がパクパクと動いているのが見えた。

「………え?」

「えぇぇ………!?」

声の主はイルカたちだった。

「お会いできて光栄です。海救主さま。」

イルカたちはキラキラした瞳でザクラを見る。

しかし、ザクラはまだイルカがしゃべっているということに戸惑っている。

「そういえば、なんで君たちここに?」

「私たちの国、イルカ国の姫様が行方不明なのです」

「お付きの仲間たちも姫様と共に姿が消えました」

「姫さまは、私たちにとってとても大切な方。なにかあったらと思うと…」

「…早い話、私たちにイルカの姫様と、仲間たちを探して欲しいと?」

「はい」

「そのイルカのお姫様と仲間はどこでいなくなったんだ?」

「ちょうどここら辺の海です。」

「逃げてきた仲間に聞くと、青色の速い船に捕まったそうです。」

「速い船……?」

「それって、クルーザ-じゃ?」

と、そのとき。

遠くから大きな水音がしその音は近くなった。

「うわ!」

大きな水音と共に、

青色のクルーザ-が姿を現した。

そして、素早く網でイルカたちを捕まえた。

ザクラはそれを見ると、船の珊に片足をかけた。そして、ふわりと船の珊から空中へ跳んだ。

「…え!?」

ザクラの手にはいつの間にか真剣があり、そしてそれを鞘から素早く剣をぬいた。

ザクラは空中でそれを振るう。

ばさっ、とイルカたちを捕らえていた網は切れイルカたちは逃げ出す。

「ちっ!」

そう舌打ちする乗組員2人の後ろにザクラが着地する。

「あんたたち」

「ひぃっ!?」

乗組員たちはザクラの形相を見て言葉で慌てて逃げようとする。

「よくもまあこんなひどいことしやがって!」

ザクラは真剣を抜いて、乗組員たちに向け、クルーザ-のエンジンを斬った。

大きな爆発音と共に、クルーザ-は大破し、乗組員たちはまるで映画のように、爆発と共に海にぶっ飛んでいった。



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