第27話 国王様のターン⑦エスメラーダ子爵にコラッ?
「エスメラーダ子爵じゃのう……」
「うっ……うぅ……」
横たわるはげたおっさんを縛……っておくような趣味は持ち合わせていないので、衛兵に捕えさせた……。
のじゃが、なぜ早く縛り付けない?
どうして服を引っ張っておる?
「なにをしておるのじゃ?」
「なにを持っているかわかりませんので、とりあえず裸にしてから捕えようかと……」
「やめよ……」
そんな汚い絵面は地下牢でやってくれぬか?
大変な任務じゃと思うから手当を増やしておくゆえ。
それに、エスメラーダ子爵には確認しておくべきことがある。
そもそもなぜここにいるのかは置いておいて、まずはな。
「エスメラーダ子爵よ。余のバカ息子であるエリオット王子を始め、騎士団長や魔導師団長、そしてレオメット侯爵のバカ息子たちにすり寄ったあのミラベルとかいう娘は貴様の本当の娘ではなく、養女ということでよいな?」
「……はっ……」
魔物に取り込まれていたからか反応が弱いが、これは肯定ということでよいな?
そのまま気絶してしまった。
まったく、本当にレオメット侯爵とグレアナルド公爵の娘との間の子なんじゃろうか?
年齢を考えると、グレアナルド公爵の娘は当時結婚しておらぬゆえ、不義の子となってしまうのじゃがのぅ。
それも、女性の方が地位が高くて男が断り切れなかったとか、男が貴族で女性が平民だったとかならよく聞く話ではあるが、男は高位貴族で女も高位貴族の娘とは……。
嘆かわしいし、汚らしい。
どっちが発端なのかは知らぬが、少しは自重したらどうなんじゃ。
そもそも年齢から言って、アリア殿と同い年ということはアリア殿の母である大公の娘が身籠っている時に、レオメット侯爵はグレアナルド公爵の娘とも通じていたことになる。
何をやっておるんじゃ!
このことは必ずや大公にも報告し、既に処罰を下してはいるが追加での罰を与えんと気が済まぬな。
侯爵と貴族の娘との不義ではあるが、ただの不義なので法的な罰則はない。
だが、それで関係者が許すかというと、それはまた別問題じゃ。
そもそもアリア殿の母が死んでから大公家はレオメット侯爵家とほぼ断絶状態にある。アリア殿のことをまずは報告せねばならぬのぅ。
あのお爺さんは余の叔父でもあり、気を使うべき相手じゃ。
アーサーとアリア殿も連れていき、きちんと説明せねばならぬのぅ。
ついでにエリオットを別口で叩きこんで性根からなにからボコボコに叩きのめしてくれんかのぅ……。
というか、大公の妻の平民出身だったゆえにその娘であるレオメット侯爵妃のことも、アリア殿のことも低く見て負ったエリオットを矯正しきらなかったのは余の不徳の致すところ。恐らくそれも勝手に行った婚約破棄の理由の一つだったのじゃろう。
我が子ながらバカなことだのぅ……。
まぁ、まずは大公に話してみよう。説明は聞いてくれるじゃろうし、聞けばアーサーとアリア殿の味方をしてくれると思うし、きっと侯爵たちには追加できっつい罰をもたらしてくれるとは思うが。
「うぅ……私は……」
衛兵たちが一応回復魔法をかけたおかげで子爵が意識を取り戻したようなので、まずはこの場を片付けてしまおう。
「エスメラーダ子爵。余がわかるか?」
「へっ……陛下? なぜ? ここは?」
「なぜとは? そなたは魔物となって余を襲撃したのではないのか?」
「そっ、そんな大それたことは……」
話せるようになったのはいいが、そもそもどこまで理解しておったのじゃろうか、疑問になるような回答じゃのぅ。
「まずは知っていることを話せ、子爵。ちなみにここは王城で、暴れた魔物を倒したと思ったらそなたが出てきたのじゃ」
「なっ……魔物? それは黒い半透明で形を変える魔物でしょうか?」
「そうじゃ」
「そうですか……」
俯いてしまったが、どうやら魔物のことを知っておるようじゃな。
「すみません、陛下。私は……騙されていたのです」
「それは話を聞いてから判断する。まずは知っておることを話せ」
「わかりました……でも、どこから話したものやら……」
「陛下……ここは我々が。まずは子爵はなぜ魔物に取り込まれていたのですか?」
余を子爵から庇いながら衛兵が訊問を引き受けた。
アーサーとアリア殿と余はその後ろで話を聞く。
「私はミラベルがエリオット王子に求婚されたと聞きまして、そんなはずはないと。そんなことはあってはならないと思い、レオメット侯爵になぜそんなことになったのかと尋ねました」
おや……?
「しかし、返ってきたのは、『喜べ。娘が王妃になるのだぞ?』という侯爵の言葉。それも満面の笑みを添えてのものでした。神に誓って私はエリオット王子と聖女アリア様の結婚に賛成しておりました。そのことを祝福しながら、娘として預かったミラベルの卒業を祝うつもりでした。それが……あの娘がそこに割って入るなど、夢にも思っていなかったのです。ですが、話しを聞いた時には既に状況は進んでおりました……」
この男も生徒の親として卒業式に臨む予定だったのだろう。
しかし思っていたものとは違う話になっており、しかもそれは阻止された。
アリア殿に婚約破棄をしたエリオット王子に対して激怒した自分と、出現した"魔力の淀み"と魔物、そしてアーサーとアリア殿によって。
そこから慌てて王都にある屋敷に帰り、処分を待つために自ら謹慎していたところ、グレアナルド公爵が尋ねて来て、我がもの顔で屋敷内で指示を出し始め、そこで意識が消えたらしい。
次に気付いたらここにいたということじゃな。
ふむ……。子爵への処分は一旦保留じゃのぅ。
などと気を抜いたのが不味かったかのぅ……。
「えっ?」
「「なっ!?」」
突然、エスメラーダ子爵の目が怪しく光った。
そして……。
「"
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