第24話
そのままタッパーの蓋を開けると、そこには沢山のおかずと、炊き込みご飯が綺麗に盛り付けられて入っていた。
ミツって本当に何者なんだろう、と私はその美味しそうなお弁当を見つめながら思う。
「え、弁当すご。江渡が作ったの!?」
「美味しそう!」
ここで否定して、誰が作ってくれたとみんなに説明するには、私はあの人のことを知らなすぎる。
それが少し、寂しいと思ってしまった自分に驚いて、ただただ笑った。
そこから昼休憩の1時間。
みんなの愚痴は仕事の内容に関することもあったけど。
ふくよかな副部長の名字が「細田」なのが許せないとか、営業先のスーパーの店長は絶対カツラだとか
くだらなすぎて、だけど楽しくて。
ミツが作った甘めの玉子焼きも、だしの効いたきんぴらも、何故だか喉を通ってもしかして間違えて心に入ってきてるのかなって思ってしまうくらいに染みて染みて、泣きそうになって大変だった。
“食べたら、そうやってちょっとは笑う元気出るよ。“
ミツって何者なんだろう本当に。
_誰かと食べるご飯は美味しいなんて、そんな当たり前のことを、私は凄く久しぶりに感じた気がした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます