第23話

「江渡ちゃんがこのテラス来るなんて初めてじゃ無い?飲み会とかも最近全然来ないし、心配してたよ。」


同じフロアに私の同期はいないけれど、同じビルにいる筈なのに、確かに私はどれだけずっと塞ぎ込んで1人で仕事をしていたんだろう。




「…江渡の課の部長、結構クセあるんでしょう?」


「…んー、そうだね。」


おいで、とみんなに手招きされながら私も丸テーブルを囲う椅子に座らされる。

もう完全にみんなのペースだけど、それが少し嬉しい。


「あのね、ここは、愚痴吐き場所です。」


「……愚痴吐き場所…?」


「そう、あ、でもうちのビルだから声は小さめね。」


「何それ。」


お弁当を出しながら思わず笑ってしまう。


「…しがない4年目には、ままならないことが多いからさ。それを共有しようってことよ。」



__ままならないこと。



確かに、そればかりだ。


抱える仕事量も、矢島さんを助けられない自分も。



「でも誰かに聞いてもらえたらちょっと楽になったりするじゃん。


私ら残念ながら力も無いし、な〜〜んにも出来ないけど、江渡も、いつでも来ていいよ。」



“な〜〜んにも“という、やるせなさをなるべく明るくした表現に、少し苦笑いをしてしまう。

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