第22話
◽︎
「…初めて来た。」
うちは自社ビルなので、最上階にあるテラスも会社の人間が大体使っている。
「昼食時にここを利用される方も多いですよ」と入社後のオフィス案内をされた時に言われてお洒落だなあなんて思ったりしてたけど。
配属されてから、そんな暇も余裕も全くなかった。
お昼のピーク時間は少し過ぎているが、ちらほらとまだランチをしていたり、1人でパソコンを見つめてる人がいたり。
こんな空間があるんだ、と新鮮な気持ちでどこに座ろうかと場所を探していた時だった。
「…江渡ちゃん!?」
「…え、」
声の主の方を向くと、少し大きめの丸テーブルを囲むように座っていた男女が立ち上がって私を呼んでいた。
「江渡、久しぶりすぎない!?生きてんの!?」
そのまま声をかけながら駆け寄って来てくれたのは、
一緒に入社した私の同期たちだった。
「久しぶり…」
「なんか江渡、身体ペラペラでは?」
「うん、ちょっと老けたな?」
挨拶をしてるというのに、好き勝手に今の私を分析してくるこの人たちは本当に遠慮というものがない。
思わず簡単に湧いた怒りから睨んでしまったが、それさえも気にしていないというようにみんなが笑う。
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