第16話

笑っている私を見て、少し目を丸くした彼は、やはりその後再び目元を柔らかく解す。



「食べたら、そうやってちょっとは笑う元気出るよ。」



「……ミツ。ありがとう。」



凄く自然に私の名前を呼ぶ彼とは違って、なんだか私は初めて呼ぶそれに、ちょっと緊張してしまった。



だけどそれさえもお見通しかのように


「どういたしまして、有宇。」


って態とらしくマスクでほとんど隠れてる筈なのに面白がってるって分かる表情でそう言ってくるから思わず少し睨んだ。



全く気にしていない風で、家まで送る、そう言って私の腕を引くこの人は、本当に一体何者なんだろう。




Monday

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