第14話

「…まず1つだけど。」


「うん?」


「有宇。お前毎日何食べてる?」


「……、」


「ん?質問聞こえてなかった?」


何も答えられずにいると、急に威圧感たっぷりの声で少し顔を近づけて問いかけてくる。


その綺麗な瞳にも圧倒されて、私は少し背中を退け反らせてしまった。




「…あ、朝は、ギリギリまで寝てたいから食べてない。」


「……朝“は“?」


鋭いなこの人。



「……お昼は…、その、休憩勿体ないし、電話もかかってくるから。デスクで、カロリーメイトとかそういうのを…、」


「有宇ってご飯の定義が分からない子なのかな?」


「……ご、ごめんなさい。」


ゆらりと青い炎を纏った彼は、その裏腹に凄く綺麗に笑っているから余計に怖い。


なんでこんな初対面の人に私は謝っているんだろう。

おかげで涙も止まってしまった。



長めの溜息と共に、言葉は続けられる。



「…ああいうのは主食にはならないから。」


「……はい。」


「ちょっと待ってて。」


「…え、」


そう言って彼は立ち上がり、スタスタと厨房の方へ歩いて行ってしまった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る