第13話

「有宇。1つずつで良いよ。」


「、」


「まずはお前が元気にならないと、人を助けるなんてできない。」


流しっぱなしの涙を拭うこともせずに、隣の彼を見つめる。



「……そっか。」


まるで初めてそのことに気がついたように言うと、やはり感想なのか批判なのか分からないトーンで馬鹿だなあ、と呟きが聞こえた。



「人間そんな何個もいろんなこと出来るわけない。


しかも有宇は、もうなんか分かったけど絶対不器用だろ。」


「…失礼だな。当たってるけど。」



何故か見通してそう言ってくれるその発言には、反論ができない。

少しふてくされるように言った私に、やっぱり隣からは楽しそうな笑い声。




“1つずつで良いよ。“


当たり前のように、そう言ってくれた。



それなら私も、もう少し、頑張れるかな。

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