第12話

「…有宇、なんで我慢すんの。泣いて良いよ。」



優しい声と共に、頭をポンポンと撫でる大きな手。


「、」


ダメだ、涙腺が馬鹿になってしまって、止められない。


だってこの人、止めなくて良いって言ってくる。

そんなのダメだよ、弱ってる心に言葉が余すことなく浸透してきてしまう。





「…わ、私は、仕事量が多いだけだから…っ、」


「…うん?」


「パワハラ、されてる人もいるの。」


「、」


「…強くてキツイ言葉を投げられてるその人に私は何もできない。


そ、それどころか、“私じゃなくて良かった“って、どこかで思ってしまう…、

そういう自分が凄く嫌だ…っ、」



傍で聞いてるだけでも、胸が痛くて、嫌なのに。


それを真正面から受け止めないといけない人が、いるのに。



「私はあんな風に言われたくない」


そう思う自分は卑怯で、最低だ。

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